古典の時間。生温い空気に溺れきった教室中、都智も周りと同様夢と授業の狭間を彷徨っている一人だった。 時折、クラスメートの「分かりません」と答える声や、雑談の声にまじって 先生の解説する声や黒板にチョークを走らせる音が聞こえる。 ふと、廊下のほうに目をやるとめったに話さない女子と目が合った。 特に事情があるわけでもないのだが、心臓は意思に関係なく跳ねた ~そんな秋に入りかけのある日~ 麗… ノートの隅にいたずら書きをする。 最近、絵を本格的に描いてみたいと思うようになった。 いつか一冊の本を作りたいと思うのだ。 どっちにしても、現時点で自分の絵はお世辞にもうまいとは言えず、 等身バランスなり目の大きさがあってなくて崩壊しているんだけれど。 自分の才能のなさに幻滅して一息ついて時計を見る。 あと15分か… 先生はこのクラスの状況に気づいているのか諦めているのか… まだ淡々と説明している。 「皆寝てるし…」 グルッと周りを見渡すと、一人のクラスメートと目が合った。 都智だっけ?? バイトばかりで前半はほとんど学校に通わず 通っても常に寝ていたためにあまり覚えてない。 知り合い程度のクラスメートはそこそこいるが、 学校に来ない自分に愛想が尽きたのか今では話しかけて来る人自体珍しい。 |